王監督休養(今井直人)
ホークスの監督になって11年になる王貞治監督が初めて休養に入る。今ではすっかりホークスの監督、そしてジャパンの監督として誰もが認めるところである。胃に手術しなければならない腫瘍があるとのこと。前回の小橋選手といい早期発見であることを願うばかりである。
ホークスの監督になって2・3年目。一番チームも監督も厳しいところで、なかなか思うように動かない選手に責任があるとした発言があった。その頃、確かに采配ミスと思えることが多く、選手がカバーすれば何ともないこともそれができる選手はいなかった。投手は崩壊し、打線はあと一本が出ない。
1996年5月9日、例の生卵事件である。負け犬根性が南海ホークスからついてしまっているという発言を繰り返した王監督に、関西のホークスファンが反旗を翻したのである。仕事帰りに8時以降の野球観戦。その日もいつも通り日生球場に行っていましたが、正直ひどい試合。「世界の王に卵を投げるとは」と翌日の新聞の一面になっていることには驚きましたが、当時はまだ「世界のホームラン王」「巨人から来た王」として世間も本人も特別扱いしていました。
ホークスが強くなったのは王監督のおかげであることは間違いありません。ひとつはドラフト、自由獲得枠でいい新人が集まったこと、もうひとつは打者として一流の哲学を主力の小久保・井口・松中・城島へと受け継いだことです。それは遠方から福岡ドームに来るファンに対して、「今日しか来れない人がいる。だから何点負けてても主力打者はその人たちために打たなければならない」と。
そのための準備を怠らない。だからこそ小久保はジャイアンツでもキャプテンであり、井口・城島はメジャーでも自分の力を出せるのである。
今や王監督はファンサービスを大事にしマスコミにも丁寧な応対をしている。だから今回の緊急手術の一報にはみんなが心配し、復帰を願う声ばかりだった。楽天の野村監督は涙を流してプレーする松中を見て「どうやったらあれだけ慕われるんだ」とボヤいていた。
周りはどうあれ、本人はもう「世界の王」ではない。コーチ・選手の意見を聞き、ファンとの距離も近くなった。今慕われているのは過去の栄光ではない。会見では「東京に行って入院して検査の上手術します」と。東京へ戻るのではない「福岡の王」なのである。
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